不動産投資に向けて物件を購入する際に、その物件が適正価格より高いのか、安いのか気になる方は多いのではないでしょうか。
物件の価格が妥当かどうかを判断する基準のひとつとして、積算価格と収益価格と呼ばれるものがあり、計算式を用いれば自分で計算することが可能です。
今回は積算価格と収益価格の違いと、それぞれの計算方法を解説します。
不動産投資で知っておきたい積算価格と収益価格の違い
積算価格は建物を再度建てる場合の費用面、収益価格は家賃収入から得られる収益性に着目しているのが大きな違いです。
積算価格は銀行が融資する際に、どれくらいの担保価値があるかを参考にするための数値としておもに使われています。
一方で収益価格は、マンションやアパート、テナントビルなどの不動産投資で用いられます。
不動産投資における積算価格と収益価格の計算方法
積算価格の計算方法は、土地の価格と建物の価格をそれぞれ計算し、足し合わせて算出します。
●積算価格=土地の建物+建物の価格
●土地の価格=土地面積×路線価
●建物の価格=再調達価格×延床面積×(法定耐用年数-築年数)÷法定耐用年数
土地の価格は国税庁の「相続税評価額路線価(路線価)」、市町村の「固定資産税路線価」、国土交通省の「公示価格」などを元にして計算します。
路線価は、「全国地価マップ」というウェブサイトから調べられるので参考にしてください。
建物の価格の計算は、構造や築年数を用いて算出します。
再調達価格とは、対象の物件を再調達(新たに購入、建築)するために必要な金額のことです。
建築資材の価格が異なるため、構造によって目安の価格が変動します。
法定耐用年数とは、法的に定められた減価償却の年数を指し、構造によって年数が変わります。
たとえば木造は22年、鉄筋コンクリート造(RC造)は47年、重量鉄骨造は34年などです。
収益価格は、対象の物件が将来生み出す純収益から求めます。
●収益価格 = 1年間の純収益 ÷ 実質利回り
●1年間の純収益=満室時年間家賃収入-(空室などによる損失相当額+管理費+固定資産税+都市計画税+損害保険料など)
●実質利回り=(実際の年間家賃収入-年間諸経費)÷(物件の購入価格+購入時諸経費)×100
1年間の純収益とは、家賃収入から管理費や損害保険料などの実際にかかった経費を控除した純収益のことです。
実質利回りとは、不動産経営にかかる経費を考慮して計算した利回りを指します。
物件価格に対してどの程度の家賃収入が得られるかという表面的な収益性を指す表面利回りと比べると、現実的な数字になるのが特徴です。