不動産投資において、財務上では利益が出ているのにもかかわらず、倒産してしまう黒字倒産が起こる場合があります。
黒字倒産の原因は減価償却が関係しており、これから不動産投資を始める方は倒産に陥らないためのポイントを押さえておくことが大切です。
今回は不動産投資において黒字倒産が起こる原因と、3つの対策について解説します。
不動産投資で黒字倒産が起こる原因は減価償却
不動産投資で自分の手元に残るキャッシュフローを最大化するためには、税金を可能な限り抑える必要があります。
節税対策で挙げられるのは、税務上の利益である益金を減らし、損金を増やす方法です。
不動産投資では、現金の支出をともなわずに経費として計上できる減価償却を活用します。
減価償却とは会計上の考え方で、建物や設備を一度に経費計上するのではなく、相応の期間で分割し、長期にわたって経費に計上していく方法です。
相応の期間は法定耐用年数と呼ばれ、建物の種類によって耐用年数が定められています。
減価償却費は節税効果の高い費用ですが、デッドクロスに陥らないように注意しなければなりません。
デッドクロスとは、毎月の住宅ローン返済額のうち、経費として計上できない元金の金額が減価償却費を上回った状態です。
たとえば木造建築の耐用年数は22年と定められており、この期間は「建物価格÷耐用年数=年間の減価償却費」として経費を計上できます。
しかし、耐用年数を過ぎると減価償却が経費として計上できなくなるので、節税効果がなくなり、デットクロスに陥るケースが少なくありません。
デッドクロス状態が続くと、帳簿上は黒字のまま手元のキャッシュが減っていき、ローンの返済金や税金を支払えなくなる黒字倒産につながります。
不動産投資で黒字倒産に陥らないための3つの対策
黒字倒産を防ぐためには、以下の対策を用いてデッドクロスにならないようにすることがポイントです。
●ローンの返済期間を短くする
●減価償却費期間の長い物件を購入する
●ローンを借り換える
ローンの返済期間を短くするためには、物件を購入する際に自己資金を多めに用意し、借入金額をなるべく抑える方法がおすすめです。
預貯金に余裕があれば、借入金の繰り上げ返済を検討してもいいでしょう。
また、減価償却期間を長く設定できる新築、もしくは築年数の浅い物件を購入するのも有効です。
ローンの借り換えをして、返済期間を長くする方法もあります。
返済の総額は大きくなる可能性はあるものの、毎年の返済金額自体を軽減させることが可能です。